日本には、さまざまな文化やルーツを持った人びとが暮らしています。それぞれの存在と違いを認め合い、権利が保障されるためには「ダイバーシティ」(多様性)の視点がますます重要になってきています。
このような背景から、NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)が、移住者と多様なルーツをもつ人々の権利と尊厳が保障される社会をめざして移住者の権利キャンペーン2020「ここにいる Koko ni iru」を展開しています。
それに呼応し、在日コリアン青年連合(KEY)、とよなか国際交流協会、ヒューライツ大阪、および個人有志が集まり、「ここにいる」大阪企画実行委員会を結成して、さまざまな企画をおこなっています。
その第3回目の企画として、11月3日にKEYの事務所でもあるコリアンブックカフェ「ちぇっちゃり」で「日常のもやもやを考える~マイクロアグレッションって何?~」を開催しました。
友だちとの会話や職場でのコミュニケーションで、その表現にはなんとなく嫌な気持ちや違和感があるけれども、どう表現していいかわからず「もやもや」することがあります。マイクロアグレッション(microaggression)とは、発言している側に傷つける意図はなくても、その発言や行為のなかには、相手が持つ文化や背景への無理解、偏見が含まれており、「ささいな、見えにくい攻撃」になってしまうことを表します。言われた側は、ステレオタイプを押し付けられ、「社会のなかのよそ者」「劣っている」などのメッセージを受け取ってしまい、心理的なダメージにつながる可能性があります。
前半では、フィリピンにルーツをもつ三木幸美さんと在日コリアンである劉成道さんがトーク形式で、具体的な「日常のもやもや」経験について話し合いました。「フィリピンと日本人の"ハーフ"ですと自己紹介した時に"日本人に見えるから全然大丈夫"と言われた」「仕事先で自己紹介した時に唐突に南北情勢について聞かれたこと」など、フィリピン出身の母をもつ三木幸美さんと、自身も両親も日本で生まれ育ち日本と違う文化に身を置くことがなかった劉成道さんの2人の間には、経験の違いがあるものの、「その場の雰囲気を悪くするのが嫌だから対応しにくい」「説明しても理解してもらえるとは限らない」などの共通した問題点もありました。
後半は、参加者が小グループに分かれて、前半の感想を出し合いながら、それぞれ経験したことを共有しました。「仕事など相手との関係によっては言われた時の対応が変わってくる」「その発言がおかしいと思った同じ場にいる人が介入できることもある」「相手の多様な背景を想像することがまず大事である」などの意見が出ました。
在日コリアンの青年層をはじめ、フィリピンにルーツをもつ人、沖縄出身の人、韓国出身の人など15人が参加しました。
第4回は、2019年1月26日に、台湾にルーツをもつ作家の温又柔さんを招いたイベントを予定しています。会場や時間の詳細は、後日、ヒューライツ大阪の「これからのイベント・セミナー」にてお知らせします。
第1回、第2回の記事はこちら
移住者の権利キャンペーン2020「ここにいる Koko ni iru.」大阪企画 第1回 粉もんからはじまるダイバーシティを開催しました(2月11日)
移住者の権利キャンペーン2020「ここにいる Koko ni iru.」大阪企画 第2回「あなたの名前は何ですか?~名前で広がるダイバーシティ」を開催しました(4月8日)