7月2日午後2時30分から、公開学習会「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)はどうなっているのか?~策定の動きと背景を知り、今後を考える~」を大阪で開催しました。日本でも2018年から本格的な策定プロセスに入り、2019年度からはさらに新しい段階に移っている「ビジネスと人権に関する国別行動計画(NAP)」の策定の動きを伝える趣旨でした。企業関係者を中心に59名の参加がありました。
「日本のNAP策定の経過と課題」では、松岡秀紀・ヒューライツ大阪特任研究員から、「ビジネスと人権に関する国別行動計画」をめぐる経過の説明やNAPガイダンス(国連ビジネスと人権ワーキング・グループの国別行動計画の指針)の紹介のあと、日本での策定の現状と課題について概括的な説明がありました。
「NAP策定の動きの中で企業に求められる視点」では、山田美和・ジェトロ アジア経済研究所 新領域研究センター・法・制度研究グループ長から、デンマーク人権研究所ウェブサイトやドイツの国別行動計画の紹介などを織り込みながら、国別行動計画とは何か、についてさらに詳細な説明がありました。そして企業としては、トップのコミットメントやさらに幅広い人権認識が重要であり、一方で、人権デューディリジェンスなどの取り組みへの政府としての公的支援が必要であることも指摘されました。
「国連ビジネスと人権に関する指導原則の現状と今後」では、菅原絵美・大阪経済法科大学准教授から、国連ビジネスと人権に関する指導原則に立ち返りながら国別行動計画の意義が解説されたあと、2017年に改定された日本経団連「企業行動憲章」や最近の企業へのアンケート調査の紹介から企業の取組みの現状を導き出し、「当事者性」「SDGsと企業責任」「人権リスクと経営リスク」「社内浸透」をキーワードに、今後に向けた課題が語られました。
質疑応答では、「NAPは最終的に政府のどのレベルで決定されるのか?」「労災や環境のリスク分析は人権リスクとしても関わりがあるのか?」「ミンダナオ島のバナナ生産から撤退する動きがあるが何か情報はあるか?」「縦軸に人権課題、横軸にバリューチェーンをとって国ごとに分析する必要があるということか?」等の質問がありました。
【アンケートから】