ヒューライツ大阪では、身近なテーマから人権を考える「じんけんカタリバ」をシリーズで企画しています。
第5回は、電車内の痴漢犯罪の問題に取り組んでいる一般社団法人痴漢抑止活動センター代表理事の松永弥生さんをカタリテに迎え、10月18日に開催しました。
前半は、松永さんから、実際に発生している痴漢被害のデータや、「痴漢抑止バッジプロジェクト」の活動内容についてお話を聞き、後半は参加者と語り合いました。参加者は16人でした。
松永さんは、友人の娘さんが通学電車で痴漢被害を受け続け、被害を受けないために自ら「私は泣き寝入りしない」と書かれたカードを身に着けて登校していることを知ったことをきっかけに、2015年に痴漢抑止バッジプロジェクトを始めました。
統計データから、通勤通学ラッシュ時の電車や駅構内で多くの痴漢被害が発生しており、10代の被害者が多数いることを紹介し、子どもへの性的虐待を大人が黙認している現状の問題点を強調されました。
被害の影響は大きく、怖くて電車に乗れないことから不登校になるケースや、自尊心が低下し、自分を大切にできなくなること、また、痴漢被害を受けて助けを求めても誰も助けてくれなかった経験から「嫌だ」という気持ちを言うことが出来なくなり、デートDVや、セクハラ、パワハラの被害が深刻化することも紹介しました。
松永さんは、教育を通じて、性犯罪を許さない社会をつくることが必要であり、そのためには、「NO!」を主張できる、「NO!」を受け入れられる、子どもの人権教育が必要であると語りました。
参加者からは、学校の人権教育の中で痴漢の問題を取り扱うことができるとよいといった意見などが出されました。
身近に存在していながらも、真正面から語られることの少ない痴漢の問題から、人権についてあらためて考える貴重な機会となりました。