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共催報告会「スリランカの漁村から」を開催しました(11月27日)

 ヒューライツ大阪は11月27日、愛知県日進市に事務所を置く公益財団法人アジア保健研修所(AHI)がスリランカから招へいしたNGO活動家のフランシス・プリヤンカラさんとスランジ・ワサナさんの2人を講師に迎えて、AHIとの共催報告会「スリランカの漁村から― 平和をつくり出す人々」を開催しました。参加者は16人でした。
フランシスさんは、1995年にAHIの国際研修に参加を経て、「スリランカ全国漁民連合」(NAFSO)のシニアスタッフとして、とりわけ2009年の内戦終了後の和解のための人づくりなどに取り組んでいます。
スランジさんは、フランシスさんによるNAFSOの研修を受けた後、リーダーとなり、南部の漁村で「ハンウェラ女性組合」を設立して、女性の生計向上をめざす取り組み、子どもグループの組織化、行政と連携した住宅建設など地域の課題に取り組んでいます。
 
フランシスさんの報告概要
スリランカ政府は2009年5月、政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)との間の内戦の終結を宣言し、26年間で7万人以上の犠牲者を出したシンハラ人とタミル人の対立が終わったとされている。しかし、平和は訪れず、10年経過したいまも避難先のキャンプで生活を強いられている多くの人々がいる。戦闘や殺害で夫を亡くした8万人以上の女性たちが生活不安を抱えている。
政府は、観光やエネルギー部門などで海外からの投資を誘致した大型開発を進めているが、零細な農漁民は土地や海を奪われている。NAFSOは、国内外の大資本のための開発ではなく、漁民の権利擁護をはじめ、地域の人々が平和に暮らせる社会をめざして活動している。
しかし、政府の主な閣僚は軍出身者が占めるなど、市民社会スペースが縮小という厳しい現実に直面している。
2019年4月、キリスト教会やホテルが爆破されるなどにより200人以上が死亡する大規模なテロ事件が起きた。容疑者はムスリム過激派だとみられているが、NAFSOはムスリムに対して報復攻撃をしないよう、全国に平和を呼びかけた。
 
スランジさんの報告概要
 16歳で高校中退した後、18歳のときにフランシスさんのリーダー研修を受けて社会問題に目覚めた。結婚・出産を経て、女性のエンパワメントをめざす団体を立ち上げ、DV問題、子どもの薬物汚染予防の取り組み、違法操業の防止と漁業従事者の権利擁護のための活動などに取り組んできた。また、女性が食品加工技術を修得できるよう政府に技能訓練の提供を要請し実現させるなど、女性の生計手段の獲得を後押ししている。そして、基金を立ち上げ、女性に低利で融資し、自営業の開業支援をしている。
 その結果、女性が夫だけに依存することなく、経済力をつけるようになってきている。一方、多くの女性たちが就労機会とより高い収入を求めて中東に家事労働者として働きに出て行っている。しかし、そこで様々な人権侵害にあっているという現実がある。
 内戦が終結した2009年、NAFSOの仲介のもと、シンハラ人女性としてスリランカ北部のタミル人のコミュニティに和解を求めて「平和のための対話」に訪れた。とても緊張して向かったのだが、タミル人女性たちが温かく迎えてくれたことがとても印象に残っている。
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    左からフランシスさん、スランジさん、中島隆宏さん(アジア保健研修所)
<参考>
公益財団法人アジア保健研修所