12月20日午後2時から、公開学習会「ビジネスと人権のいま~ジュネーブフォーラムとNAP策定をフォローする」を大阪で開催しました。「政府の役割」をメインテーマとし、11月25日~27日にジュネーブで開催された第8回国連ビジネスと人権フォーラムの内容と、現在、日本で策定されている「ビジネスと人権に関する国別行動計画」(NAP)をめぐる最新情報を伝えるとともに、ジェンダーやデジタル技術など具体的な課題に展開されつつある「ビジネスと人権に関する指導原則」をめぐる最新の動きを紹介する趣旨でした。企業関係者を中心に38名の参加がありました。
「ビジネスと人権NAP策定の経過と今後」では、松岡秀紀・ヒューライツ大阪特任研究員から、これまでの日本のNAP策定の経過の説明のあと、策定の現状と課題の解説、また7月に公表された政府文書「ビジネスと人権に関する我が国の行動計画(NAP)の策定に向けて」の紹介などがありました。
「ジュネーブフォーラムで語られたこと~NAP策定と関連付けて」では、氏家啓一・グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン事務局次長から、実際に参加された第8回ビジネスと人権フォーラムの内容について、NAP策定で重要な「政策の一貫性」、政府による規制と企業の自主的取り組みの双方を組み入れて有効性を高める「スマートミックス」など、いくつかのトピックを軸に語られました。また、「指導原則」に沿ったNAPとすること、SDGsとの関連性を明確にすること、企業価値向上にも寄与することなど、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンとしてのNAPに対する見解の紹介もありました。
「指導原則を具体的な課題へ展開すると?~ジェンダーとデジタル技術を事例に」では、菅原絵美・大阪経済法科大学准教授から、「指導原則」を具体的な課題に展開する最近の動きとして、人権影響評価、具体的な対処、救済という指導原則の各段階でジェンダー視点を組み込む「ビジネスと人権に関する指導原則のジェンダー側面」をめぐる動きと、AIなどデジタル技術の開発や使用において発生しうる人権侵害に「ビジネスと人権」の視点から対処することをめざす「B-Techプロジェクト」の紹介がありました。
質疑応答では、「NAPについて、SDGsとの関連ではどのように理解すればよいか?」「ガイドラインとガイダンスはどう違うのか?」「人権リスクと経営リスクについてどのように理解すればよいか?」「人権に関する企業の取り組み状況について国が認定制度をつくるような動きはあるか?」等の質問がありました。
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【アンケートから】
※ 「B-Techプロジェクト」についてはニュース・イン・ブリーフ「国連人権高等弁務官事務所がデジタル技術の分野における指導原則実施のためのプロジェクト案を公表」(2019年8月)もご覧ください。