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「人権都市研究プロジェクト」「プロボノ会議」に参加しました(2019年7/17-18、9/13-15)

 2019年7月と9月にジェファーソン・R・プランティリア研究員が国際会議に参加しました。以下、各会議の報告です。

人権都市研究プロジェクト
 スウェーデンのルンド大学にあるラウル・ワレンバーグ人権人道法研究所(RWI)は、人権都市とSDGsに関する研究プロジェクトを実施しています。ヒューライツ大阪のジェファーソン・R・プランティリアは、RWIからの依頼により研究報告の内容に関するアドバイスをするために2019年7月17〜18日にバンコクでの研究者会議に参加しました。
 この研究の目的は、人権保護における地方自治体の役割に関する国際的な原則と基準の発展に貢献すること(地方自治体が人権プログラムを実施できるようにするための実際の措置など)、および地方ガバナンスにおける持続可能性の課題との関係を検討することです。このプロジェクトは、インドネシア(バンドン市、ランプンティムール地区)、フィリピン(ブカイ)、韓国(光州)、インド(ナグプール)の地方自治体を対象としています。この研究では、アジア太平洋地域の人権都市と環境権において将来性のある実践と課題に注目しています。これらの実践は、人権に関連する政策やプログラムを参照して行われています(貧困層の住宅プロジェクト、コミュニティ開発、生計支援や社会福祉など)。 

プロボノ会議
 第8回アジアプロボノ会議は2019年9月13〜15日にネパールのカトマンズで開催されました。これまでの会議と同様に、カトマンズでの会議は弁護士、研究者、法律を学ぶ学生、法学者、プロボノ専門家、政策立案者、市民社会と非営利団体の代表者が一堂に会し、貧困層に法的サービスを提供した経験を共有することを目的におこなわれました。
 会議には30か国以上から約700人の参加者とボランティアが参加しました。ジェファーソン・R・プランティリアは、「司法に関するタスクフォース」が作成した、世界各地の司法へのアクセスの状況に関する報告書の発表等、多数のセッションに参加しました。司法に関するタスクフォースは、すべての人々の司法のため、SDG目標の早期達成を目指す司法のリーダーと専門家のグループです。
 パキスタンの著名な人権弁護士であるヒナ・ギラニの報告では、貧困層が裁判所やその他の司法制度を使って問題解決するのを支援する先駆的な多くの事例が紹介されました。
 レポートには、次の事例が記載されています。
•リベリアの僻地のパラリーガルはバイクに乗って160の村にアウトリーチを提供しています。
•メキシコのヌエボレオンで、Ciudadanos en Apoyo a los Derechos Humanos(人権を支持する市民)は、囚人とその家族に法的支援を提供し、訴訟を支援し、関連する法律と手続きについて受刑者を教育しています。
•ブータンのNGO RENEWの地域ボランティアは、家庭内暴力の報告に対応するために地域の長老や警察と協力しています。
•オーストラリアでは、薬物問題のある被告人が裁判前に治療を受けることを奨励するダイバージョン判決プログラム(治療が完了したことが量刑に考慮される)により、薬物使用と再犯率の両方が削減されました。
•アルゼンチンの90の Centros de Acceso a la Justicia(司法へのアクセスセンター)は、地域の人々に包括的な法的・地域サービスを提供しています。
•ブルンジのジェンダーに基づく暴力のためのHumuraセンターは、サバイバー(被害者)に医療、心理社会的支援、警察や司法についての助言を提供しています。

 会議では、訴訟、ロースクールのリーガルクリニック、移行期正義(transitional justice)、難民をテーマにセッションが持たれました。法律事務所の弁護士、NGOで働く人々、法学部の教授、法学部の学生といったプロボノ活動に携わる人々に関するセッションもありました。プロボノの活動について、SDGsの達成、移民労働者と難民の権利、人身売買、女性の権利、ネパールの内部武力紛争の犠牲者、経済的、社会的および文化的権利の行使、社会問題に関する意識を高めるアーティストの役割など、多くの問題に関連して議論されました。

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ヒナ・ギラニ弁護士と筆者