文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

セミナー「移住労働者とその家族の権利保護」を開催しました(2/22)

 ヒューライツ大阪は2月22日大阪市内で、公益財団法人笹川平和財団との共催でセミナー「移住労働者とその家族の権利保護~東南アジアの送り出し国の現状と日本における受け入れの在り方を考える」を開催しました。
 笹川平和財団は、移住労働者の権利保護・促進に向けた市民社会における連携を目的に、2017年度から国際移住労働をテーマに調査事業を展開しています。今回のセミナーは、インドネシアをベースに国内および東南アジア諸国の人権促進に取り組むNGO「ヒューマンライツ・ワーキンググループ」(HRWG)と協働で実施した労働移住をめぐる三つの課題(①ASEAN域内における移住労働者の権利保護に向けた仕組み=ASEANコンセンサス、②移住労働者の渡航前研修、③送り出し国に残された移住労働者の子どもたちの実情やケア)に関する調査結果の概要を、インドネシアからHRWGの3人の研究者・活動家などを迎えて日本の市民社会と情報共有する目的で開いたものです。ヒューライツ大阪は、2018年から同財団の取り組みに協力してきました。
 セミナーは、上記の課題に即して、第1セッションではHRWGのメンバーで、インドネシア大学のアビアンティ・アジズさんが、2017年にASEAN(東南アジア諸国連合)で採択された移住労働者の権利と保護の伸長に関するコンセンサス(ASEANコンセンサス)の背景と内容に関して、およびヒューライツ大阪の藤本伸樹が東南アジア諸国から日本への移住労働者の増加をめぐる経緯について報告しました。
 第2セッションでは、渡航前研修の実態と課題をテーマに、京都大学の安里和晃さんが日本における移住労働者の受入れ制度と人権状況に関して、HRWGのダニエル・アウィグラさんがインドネシアから日本への渡航前のプロセスに関して、メコン・マイグレーション・ネットワークの針間礼子さんがベトナム、カンボジア、ミャンマーなどメコン地域からの移住労働者の渡航前の状況と権利擁護の取り組みについて報告しました。
 第3セッションでは、送り出し国に残された子どもたちの現状をテーマに、HRWGのヨガ・プラセトヨさんが、子どものころ母親が家事労働者として外国に就労していた自分の体験を冒頭に語りました。また、プラセトヨさんはアジズさんとともに、インドネシア、ミャンマー、フィリピンにおける残された子どもたちの教育、医療、精神的・心理的側面などからの課題について報告しました。それを受けて、とよなか国際交流協会の山野上隆史さんが、大阪で外国ルーツの子どもの支援に取り組んでいる立場からコメントしました。
 当日、笹川平和財団とHRWGが制作した英文の調査報告書の日本語訳『ASEAN地域における移住労働者の権利-ベースライン調査』(B5判・89ページ)を資料として参加者に配布しました。
 参加者は合計80人でした。今後、セミナーの内容に関する情報を、ヒューライツ大阪のニュースレター「国際人権ひろば」などで引き続き報告する予定です。

※参照 https://www.spf.org/spfnews/information/20200421.html
笹川平和財団(2020.4.21):「移住労働者とその家族の権利保護~東南アジアの送り出し国の現状と日本の受け入れの在り方を考える」
アジア事業グループ、「ヒューライツ大阪」とセミナー共催
セミナーのもよう.jpg
                   (写真:笹川平和財団提供)
<セミナーの概要>
日時:2020年 2月22日(土) 14:00-17:00
会場:ドーンセンター 4F 大会議室3
プログラム
開会挨拶:三輪敦子(ヒューライツ大阪所長)
 
ASEANコンセンサスの取り組み・日本の課題
 藤本伸樹(ヒューライツ大阪研究員)
 アビアンティ・アジズ(インドネシア大学講師)
 
労働者の渡航前研修の実態と課題
 安里和晃(京都大学准教授)
 ダニエル・アウィグラ(ヒューマンライツ・ワーキンググループ副代表)
 針間礼子(メコン・マイグレーション・ネットワークコーディネーター)
 
送り出し国に残された子どもたちの現状
 アビアンティ・アジズ(インドネシア大学講師)
 ヨガ・プラセトヨ(ヒューマンライツ・ワーキンググループプログラムオフィサー)
 山野上隆史(公益財団法人とよなか国際交流協会事務局長)
 
閉会挨拶:中山万帆(笹川平和財団アジア事業グループグループ長)