12.10世界人権デー / オンラインセミナー「フィリピン-麻薬撲滅戦争とコロナ禍が隠れみのにされる超法規的処刑」を共催しました
フィリピンではドゥテルテ大統領が、2016年6月末に就任した直後から「麻薬撲滅戦争」を展開しており、麻薬所持や売買の疑いで多数の市民が警察官や正体不明の人物によって殺害されています。また、人権や環境問題に取り組む活動家やジャーナリストなども多数殺害されています。
法令に基づかずに執行される「超法規的処刑」は、これまでの政権下でも深刻な人権問題でした。ドゥテルテ政権下においては、市民の支持の高い「麻薬取締キャンペーン」を名目に、そしてコロナ禍を隠れみのとして、殺害事件が頻発しています。
国内外で憂慮が高まるなか、国連人権高等弁務官事務所は独自の調査にもとづきフィリピンの人権状況報告書を作成し、2020年6月の第44会期国連人権理事会に提出しました。
そうしたなか、立教大学異文化コミュニケーション学部とヒューライツ大阪、国際環境NGO FoE Japanが協力し、12月10日の「世界人権デー」にあわせ、オンラインセミナー「フィリピン-麻薬撲滅戦争とコロナ禍が隠れみのにされる超法規的処刑」を開催しました。
セミナーでは、ヒューライツ大阪の藤本伸樹研究員が、フィリピンで起きている深刻な人権侵害に対する国連人権理事会の動向を紹介しました。そして、FoE Japanの波多江秀枝・委託研究員が、環境保護や人権擁護に取り組む活動家を標的にした超法規的処刑の事例、また日本企業の投資や開発協力の現場で起きた人権侵害のケースなどを報告しました。
さらに、2020年5月に南コタバト州に住む友人のジョニー村長が麻薬おとり捜査に端を発して殺害されるという事件に衝撃を受けた石井正子・立教大学教授がその概要を報告しました。それを受けて、遺族の支援をしているジョナサン・ウランダイ牧師がミンダナオ島から、事件捜査や加害者の特定が進まない現状について報告しました。
この事件も、コロナ禍における移動制限のもとで、被害者や遺族の納得のいく捜査がうやむやにされるのではないかと懸念されています。ジョニー村長殺害に対する正義の実現をめざして、フィリピン国家捜査局(NBI)などに対して真相究明を求める署名キャンペーンを日本の有志がこのほど開始しました。セミナーでの4人の報告の後、世話人の長瀬理英さんが約100名の参加者に署名を呼びかけました。
セミナーのプログラムは以下の通りです。各報告のレジュメデータを添付しています。
<プログラム>
[日時] 2020年12月10日(木)19:00-21:00
[報告]
藤本伸樹(ヒューライツ大阪研究員)
波多江秀枝(国際環境NGO FoE Japan委託研究員)
石井正子(立教大学異文化コミュニケーション学部教授)
ジョナサン・ウランダイ(Jonathan Ulanday)フィリピン・メソジスト教会牧師
(通訳・石井正子)
[署名のよびかけ]
・「麻薬撲滅戦争」に巻き込まれ殺害されたジョニー村長の事件の真相究明と正義を求める日本の支援者グループを代表して
長瀬理英
[質疑応答]