オンラインセミナー「ネパール出身の高校生の教育と進路をめぐって」を開催しました(7/24)
近年、ネパール料理店などでコックとして働く親に同伴して、ネパールから学齢期の子どもたちが多数来日しているなか、教育をめぐる課題、とりわけ、進学・就職という進路選択のステージにある高校生(全日・定時制)が直面する課題が数多く浮上してきました。
そうした現状を受けて、ヒューライツ大阪とおおさかこども多文化センターは7月24日、ネパール社会、および在日ネパール人コミュニティなどに関する課題を長年研究している田中雅子さん(上智大学総合グローバル学部教員、社会福祉士、滞日ネパール人のための情報提供ネットワークコーディネーター)を講師に迎えて、オンラインセミナー「ネパール出身の高校生の教育と進路をめぐって」を共催しました。
当初、田中さんに加えて、大阪府立高校ネパール語特別非常勤講師を務めるススマカドカアディカリさんに「学校での教育支援からみえる課題」について報告していただく予定でしたが、直前に体調を崩されたことから実現しませんでした。
ススマさんにかわり、大阪府日本語教育支援センター(ピアにほんご)でコーディネーターおよび相談員を務める村上自子さんが「ネパール出身の高校生の状況と母語支援」について、大阪府立高校で母語支援者の受入れを担当してきた橋本義範さんが「母語教育およびネパール出身生徒の活躍」について、そして大阪府立福井高等学校教員の岸本裕美さんが「ネパール出身生徒への教育支援の取り組み」について報告しました。村上さんは、おおさかこども多文化センターの副理事長で、橋本さんは事務局長です。
田中さんは、「在日ネパール人の子ども・若者を取り巻く現状:なぜ高卒資格が重要なのか」をテーマに、外国での就労をめざすネパール社会の背景、および「家族滞在」が多くを占める在日ネパール人の在留資格について、またネパール人コミュニティの特徴を概括したうえで、具体的なケースを紹介しながら教育支援の課題を解説しました。
田中さんは、多民族・多言語・多宗教からなるネパールから、様々な理由で来日している子ども・若者がいること、そしてきょうだいでも言語習得、基礎学力などで差があるといった多様性に配慮した支援が重要であると述べました。
子どもたちの自由な進路選択にとって必要な支援として、言語(日本語だけでなく英語も)の習得、奨学金や受験などの制度の壁に関する情報提供、本人だけでなく親への進学情報の提供、多様なキャリアを歩んだ人と接する場の提供、日本国内だけでなくネパールや第三国での進学・就職の選択肢を視野に入れた指導などをあげました。
参加者は約130人でしたが、その大半が実際に全国各地の学校や日本語教室などでネパール出身の子どもたちの教育支援に関わっている人たちでした。