文字サイズ

 
Powered by Google

MENU

ヒューライツ大阪は
国際人権情報の
交流ハブをめざします

  1. TOP
  2. 過去アーカイブ(これからの事業)
  3. 7月31日(水) COマルティバーシティ(CO Multiversity)

7月31日(水) COマルティバーシティ(CO Multiversity)

全行程リストに戻る

話した人
1.フィデス・バガサオ所長(Ma. Fides F. Bagasao, Executive Director)
2.ボーイ(タギッグのコミュニティ組織化担当)

●CO Multiversityについて
  • フィリピンのCO(コミュニティ・オーガニゼーション)の歴史は1970年代、あるいは60年代終盤にさかのぼる。こうした歴史的活動の後継団体といえる。
  • ビジョン:持続可能な開発に向けて、エンパワーされたコミュニティが、他の利害関係者(ステーク・ホルダー)に働きかけることができる社会をめざす。
  • ミッション:創造的で、文化にも敏感なコミュニティのプロセスを通じて(たとえばキリスト教徒だけでなく、ムスリムに対しても)、COやPO(民衆組織or草の根組織)、他の開発組織の能力を高めるための、学習センターの役割を果たす。他の利害関係者ともパートナーシップを促進する。
  • 目的:問題に深く関わり高い能力をもつCOやPOリーダーたちを増やす。COトレーニングを通じて、民衆のアジェンダをつくる。課題(問題)中心のコミュニティの組織化を通じてCOの方法論を高める。参加型の技術を促進することを通じて政策決定に影響を与えることができるようにし、草の根の力を強化する。
  • プログラム:4つの主なプロジェクトを実施している。
    ① コミュニティ・オーガナイザーとPOの能力を、COトレーニングなどを通じて高める。コミュニティ組織の学習センターを各地に設立し、COを学びたい人の学習センターとしての機能を果たす。解決困難で重要な課題についてはNGOやPOとも協働する。
    ② 多様な利害関係者の能力開発:プランナーや建築家、政府の役人までを対象に、COのオリエンテーションを行う。POやNGOが政府に影響を与えられるような能力を高める。市民社会のリーダーとして、NGOのディレクターらの資質を高める。コミュニティの周辺化されたセクターの特定の問題について、多様な利害関係者との話し合いの場をもつ(ロッキングチェア・リフレクション)。交渉と調停のトレーニング。ミンダナオの平和と開発のための対話。
    ③ COのネットワーキング
    ④ リサーチとドキュメンテーション
●タギグ道路堤防プロジェクト(メトロマニラ西マンガハン地区洪水制御事業)
  • タギグから、タイタイまでの9.8kmの道路堤防を、日本の政府開発援助(ODA)の一環として国際協力銀行(JBIC)による2.9billionペソ(約94億円)の借款によって、フィリピンの公共事業道路省が建設する計画。2001~5年で完成をめざしている。
  • UP水質調査センターのなどの調査の結果、漁民、農民、都市貧困層に影響を与えることがわかっている。
  • 1983年マニラ湾とラグナ湖とのあいだのパシグ川の水流をコントロールするためのナピンダン水門が建設された。これによって、満潮時のマニラ湾からのラグナ湖への塩水の流入が抑制され、汽水湖である湖の生態系に悪影響が懸念されたが、利用開始時には戒厳令下であったので、反対運動を起こすことができなかった。
  • 1986年タギグが5ヶ月にわたり洪水となり、水門を開けるよう住民が運動する。
  • 1993年環境天然資源省が、プロジェクトに対して環境適合証明書(ECC)を発行。湖岸の漁民がAKLASを結成して、プロジェクトに異議を唱え始めた。
  • 1999年タイタイ住民に事前の相談もなく強制移住が通告される。「タカッド」(Taguig Coalition Against Dike 堤防建設に反対するタギグ住民連合)が結成された。
  • 2000年11月公共事業省がタイタイの住民と対話を開始。だが、ポンプ場建設が開始され、それに伴い湖岸の農地の一部を失うこととなった。
  • 2001年9~10月 COが関係各省庁と交渉を始める。
     住民はプロジェクトをやめるよう政府機関と交渉を開始。
     公共事業省は、ラグナ湖管理局による許可を得ないまま工事を開始した。
  • 2001年11月、工事は2週間をめどにいったん停止された。POや.NGOの協働調査グループをつくることになり、中断は1年間に延長されることになった。中断対象は、堤防建設であって、ポンプ場の工事は続行している。工事が遅れれば援助国日本が気分を害する、とフィリピン政府が判断しているという。
  • 環境影響評価(EIA)を新たに行うようNGOが強く要求した。
  • 2002年4月、反対運動を強化するため湖岸のPOの会議が開かれる。日本大使館前での抗議集会も組織された韓国の環境NGO のKFFMによる事実調査団が組織され、結論のひとつとして新しい環境影響評価(EIA)の実施を提言した。
  • 2002年6月、民間の専門化による会議が開かれ新しい環境影響評価の実施が提言される。7月にはフィリピン大学の環境管理学部が中心になって、地域住民をベースにしたEIAのためのトレーニングを実施。タギグなどから35人の住民リーダーが参加するなどPOや関係組織を強化する取り組みを行っている。
<政府とNGOとのあいだの大きな認識の相違点>
●洪水対策に関する考え方の違い
  • 政府:道路堤防が唯一の対策だと考えている。
  • NGO:堤防は解決にはならず、むしろ近隣の町に洪水をもたらすだけだと考えている。植林を実施したり、ナピンダン水門を開くとともに(マニラ湾からの塩水流入をもたらす)、環境や住民の農漁業に悪影響が少ないと考えられるパラニャケ水路を建設する必要があるとらえている。
●堤防による影響についての考え方
  • 政府:堤防によって水位は2インチ程度しかあがらず、影響は最小限だと考えている。
  • NGO:水位の上昇は2インチにとどまらない。農漁業に影響を与える。マニラ湾からの塩水の流入を制限するから(淡水湖だが、満潮になると塩水がマニラから入ってきて双方の水が混ざる。)
●生活に対する影響
  • 政府:漁民に与える影響も最小限。堤防の外の農地には影響がない。堤防に囲まれてしまう農地については補償すると述べている。
  • NGO:漁民は水質変化で生活を奪われる。堤防のある地域以外の水位があがるため、水没する農地が発生するという心配。
     堤防の建設される場所の地質は泥の不安定な地質で、堤防は沈下する可能性がある。うわさでは火山活動もある。また、台風に対する不安もある。
●韓国や日本のNGOとの協力
  • LOCOA(Leaders and Organizers of Community Organization in Asia)の韓国のメンバーが2年間滞在。トレーニングやインターン制度を相互に行っている。