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8月1日(木)サンバ(SAMBA)(アンティポロ山地小農連盟)

Samahan ng mga Magsasaka sa Bundok Antipolo= Small Farmers Federation in Antipolo Mountain

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サミュエル・フエリアス議長(Samuel Fuellus, President)
ペドリトル・ナガ監査役、
ミリンダ・パリリオ書記、

●SAMBAの組織構成(下記の3組合で構成されている)
  1. SMM PPI(パトヌバイ地区近隣農民組合)
    Samahang Magkakapitbahay Magbubukid ng Purok Patnubay
  2. NUFEAR(環境・農地改革のためのナグパトン台地組合)
    Nagpatong Upland for Environment and Agrarian Reform (San Jose)
  3. KMMP(農民・果樹植林者組合)
    Kapisanan ng mga Magsasaka at Magtatanim ng Punongkahoy (San Ysiro, San Jose)
 私たちが訪れたのは、SMM PPIが組織されているアンティポロ市バランガイ・サンルイスのパトヌバイ地区。
  • サンバの母体となった組織は、マルコス大統領政権の戒厳令下に結成された。
  • 当初、サンバはバランガイレベルの組織だったが、リサール州のできるだけ多くの地域に活動を広げたいと考え、3つの組織の連合体となった(2000年8月)
  • 現在、150世帯が加入。加入は世帯単位が原則。かつては個人加盟であったが、世帯に変えた。
  • 3つの団体には重複して入れないシステムになっている
  • 女性については、かつて個人加盟で234人が加盟していたとき、79名が女性だった。夫が死去すると自動的に妻が加盟するシステムになっていた。
●係争中の問題
 <ケース1>
  • 大半の農民は1971年以降、他の土地からこちらへ移住してきた。マルコス時代、大統領令27号(PD27)の農地改革法が成立し、125haの農地が約束されたので、農地を求めてここへきた人も多い。ところが、現実は予想に反した。地主が、移住してきた農民を訴える動きに出たのである。1976年、バルタオ氏が侵入罪でわれわれを4つの裁判で訴えた。しかし、いずれも棄却された。
  • その後1992年、バルタオ氏は、われわれの耕作地を含む土地を住宅地への転換許可を得た。われわれは、弁護士に依頼し、その取り消しを求めるべく提訴したが、「よそもの」扱いを受け、敗訴。
 <ケース2>
  • 「ガリアルド・バウティスタ所有の農地」(約24ha)が、アキノ政権下で新たに施行された包括的農地改革法に基づき耕作農民に本来分配されるべきであったのにもかかわらず実現の見通しがなかった。
  • この土地をめぐり、地主が農地改革から免除されるよう申請したが、98年にガリラオ農地改革相(当時)が却下した。それに対してバウティスタは異議申し立てをしたものの、2000年4月に再度却下された。2002年現在、SMMPPIでは農地改革の手続きを迅速に進めるよう市農地改革事務所と交渉を続けている。約24haの土地に対して、受益者は42人(世帯)もいる。
 <ケース3>
  • バランガイ・サンホセのサンイシロ地区約4,400haの土地をめぐる問題は、1910年頃に遡る。フィリピン政府は先住民が暮らすこの土地をアメリカ人に贈与したのである。1970年代半ばにメトロ・マニラ水道局がこの土地の所有権を得た。
  • 1977年、サンイシロ地区は、リサール州タナイ町近隣の7つのバランガイ約29,000haが水没するライバンダムの移転地として指定された。
  • そのため、メトロ・マニラ水道局では、この土地は農地改革の対象外だとして、絶対に土地を農民に分与しないという方針。これに対して、サンバ傘下のKMMPは、農地改革の実現をめざして関係省庁と折衝を続けている。
 <ケース4>
  • NUFEARが、環境天然資源省に対して、約6万haにおよぶマリキナ水源地域保護のため植林・環境保護を求めて覚書を交わしたが、同省がそれを実行しない。また、NUFEARでは、この地域で耕作する36世帯に対する農地改革の実施を求めている。
●この地区の作物と収入
  • 陸稲、ヤム、野菜、バナナ、キャッサバや生姜などの根菜、マンゴー、ピーナツ、とうもろこしなど。
  • 一番お金になるのは建築材料としての竹。
  • 土地自体が少ないので、農業から得られる収入は30%程度。そのほかの必要分は、子ども達が工場や建設現場などで働いたりしてカバーしたりする。
●パキサマなどによるトレーニングについて
  • パキサマ、サリガンなどがトレーニングの支援をしてくれる。
  • トレーニングの種類---パラリーガル・トレーニング、コミュニティ・オーガニゼーションのトレーニング、トレナーズ・トレーニング、ファシリテーションスキル、紛争解決、リーダーシップ・スキル・トレーニング、価値形成(value formation)、財政マネージメント、持続可能な農業、交渉スキル、生活スキル・生活向上など。
  • トレーニングは、自分達自身の運動を活性化するために必要であり、実施している。
●パラリーガル・トレーニングについて
  • パラリーガル・トレーニングでは、土地・農地に関する法律を集中的に学ぶほか、交渉技術、訴訟の法的プロセス、またその戦略を立てる方法を学ぶ。
  • パラリーガル・トレーニングを受けると、弁護士がいなくても、自分自身の弁護士になることができる。ガリアルド・バウティスタのケースでは(自分の土地を農地改革から免除してほしいと申請していたが、農地なので分け与えるべきだ、と争っていた)、弁護士なしでも、パラリーガルだけで勝つことができた。
  • 地主側は弁護士をつけ、これに対して民衆はパラリーガルのみが対抗するという構図であった。なかには金で買収されるパラリーガルもおり、敗訴したケースもある。
  • 農地改革の紛争解決に関わる機関には以下のものがある
    DARAB Department of Agrarian Reform Adjudication Board(農地改革省裁定委員会)
    RARAD Regional Agrarian Reform Adjudication Board(地方農地改革裁定委員会)
    PARAD Provincial Agrarian Reform Adjudication Board(州農地改革裁定委員会)
    MARO Municipal Agrarian Reform Office(市・町農地改革裁定委員会)
  • パラリーガルの役目---上記の機関におけるpresentation(弁護士の役目)、documentation(文書の作成、 negotiation(交渉)
●農地改革に関連する問題
  • 農地改革には強制接取(Compulsory Acquisition)と自発的土地提供(Voluntary Scheme)とがある。自発的土地提供の場合、地価が周辺の土地と比べて決まるので、その場合地価が高すぎて農民には払えない。行政に予算を増やすよう求めている。
  • 不正を働く者もいないわけではない。たとえば、農地改革の受益者は、所有権を正式に取得するまでは土地を売ってはいけないのだが、土地を転売してしまう人もいる。
  • 包括的農地改革法では、一世帯あたり3haが分与されると決まっているが、このあたりでは、多くても1.5haしか耕作面積がなく、最小では3000m2(30a)という農民もいる。1000m2以上を耕作していれば農地改革の対象者になるのだが、このあたりでは全体で土地が23haしかないのに対して、受益者が42人もいることが問題。土地が足りないので、十分分配できない。受益者は、対象地の実際の耕作者で近隣に居住している農民が最優先される。したがって、対象地が農民世帯に比して足りないといった現状がある。