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韓国スタディツアーに参加して

大西裕子 (立命館大学大学院博士後期課程)

  私が今回のツアーに参加したのは、現在、大学院で国際結婚に関する研究を行っていて、ツアーのテーマと合致していたことと、韓国はお隣の国なのに行ったことどころか、韓国語も韓流ドラマについてもほとんど何も知らず、まさに近くて遠い国だったことが大きな理由でした。
  けれども、実際にツアーに参加して一番印象に残っていることは、ツアーに参加された面々の多様さです。ツアー中、いろんな方とお話させていただいた中で、自分が常識であり、普通のことと考えていたことが実は相対的なものに過ぎないと実感しました。これは当たり前のことかもしれませんが、今まで自分が育ってきた環境や普段の暮らしがごく限られた世界でありながら、その世界観を社会的通念だと内面化していた自分に気づいたという点で、今大学院で研究をしているという立場を見直す刺激的な機会にもなりました。特に、「移住女性の人権と多文化共生」というテーマに関しては、政策的には「女性」や「韓国人・日本人・○○人」というように一括りで捉える傾向が強いように思いますが、そういった枠組みからは捉えきれない人たちや実際に起こっていることをみる目や、カテゴリーは上から押しつけるものではなく、人ひとりひとりが主体的に選択するものであるという視点の重要性を学んだ気がします。
  その点でとりわけ印象深かったのは、韓国の女性、特に私と同年代の女性が、非常に高い意欲や行動力・判断力をもって研究やNGO活動に従事していた姿でした。市民と政府との関係性や距離感が日韓で大きく異なるという社会的・歴史的背景はあるとしても、自分の常識を疑う視点を痛感したのと同じで、多様な人たちが集い、交流して、他者との関わりあいを大切にする中で、自分ができることや自分にとってどういうことなのかを考える機会や意欲が、今の私のまわりには欠けているのではないかと自戒を含めて感じます。
  ですから、今回、様々な問題意識や関心をお持ちの方々と5日間、ご一緒させていただくことが私にとってはまさにそうした機会となり、当初の参加の目的や理由からは想像もつかなかったような充実した社会経験となりました。たくさん話し、飲み、食べ、見聞きして、自分を振り返り、いろいろ考え、時には混乱することもありました。まだ、整理ができていないことも多く、逆に思い出がすでに風化しているところもありますが、とにかく、国際結婚というテーマに関していえば、それを「対象」としてみるのではなく、自分との関わりの中で捉え、一緒になって考えていく姿勢は忘れずにいたいと思います。
  もうすぐ留学先に旅立つので、残念ながら10月の大阪のシンポジウムには参加できませんが、機会があれば、他のスタディツアーにも是非参加させていただきたいと思っています。
  ツアー企画者、参加者の皆様、どうもありがとうございました。