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インド人権委員会について

島田慈子

  人権委員会が多くのケースを扱っていることについては評価に値すると思った。日本でも警察による人権侵害が未だ問題になっていることを考えると申し立て件数のうち50-60%が警察に対する申し立てであることは注目すべきだろう。また、人権委員会の委員構成が委員長を最高裁判所長官の退官者をはじめとして、最高裁判所の判事、高等裁判所の判事、人権に関して知識があり実務経験を有する者から構成されていることから人権にしっかりと配慮された構成であるとみることができるだろう。
  また、インドでは子供の労働その他の労働問題など様々な人権侵害が起こっていると考えられるが、これらに対して定期的に調査していることについても評価できる点だと思われる。調査の方法についても人権侵害が起こりそうな場合にでも介入できる点が人権侵害予防の観点からみてすばらしいと思った。また、裁判所で審議されている人権侵害の事例にも介入できるなどかなり強い権限を持っているものと考えられる。
  さらに、アクセスのしやすさにも特徴があると感じた。特別な手続きを踏まなくても手紙等でも申し立てができる点がアクセスしやすく、人権侵害を防ぐ有効な手段になっていると感じた。
  情報公開も進んでいるということで、審議中の事件もホームページで簡単に検索できるということであった。これは新たな人権侵害が起こらないために重要なことであるとともに事件がきちんと審議されているかを知ることができるという点で重要である。しかしながら誰もが審議中の事件を閲覧できるということは個人のプライバシーも公表されてしまうということである。この点に関しては人権委員会からは明確な回答は得られなかった。
  全体として、多くの事例を扱い、広く人権侵害に対応している印象を受けた。ただし、州ごとの人権委員会はまだ各州に存在するわけではなく、その設立が急がれる。また、それら各人権委員会との連携も進めばさらに人権侵害を押さえることができるのではないかと思われる。