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1997年の政府・NGOの動き

チッタゴン・ヒルに関する国際平和会議(タイ)

 1997年2月23日~26日にわたり、タイのバンコクにおいて、チッタゴン丘陵地帯に関する国際平和会議が開催された。この会議の目的は、チッ タゴン丘陵地帯問題で対立しているバングラデシュ政府と先住民族の立場の誤解を縮め、平和的解決を図ることに貢献することである。そして、平和的解決の障 害を克服する運動を支援する方法と手段について議論された。

【連絡先→International Peace Conference on Chittagong Hill Tracts Secretariat P. O. Box 26 Bunthonglang P. O, Bangkok 10242 Thailand. なお、会議の報告書は→ACFOD, P.O.Box 26, Bungthonglang, Bangkok, 10242, Thailand, tel: 66-2-377-9357, fax: 66-2-374-0464】


「アジア人権憲章」最終草案完成(香港)

 香港にあるアジア人権委員会が中心となって進めている「アジア人権憲章」の最終草案が出された。基本原則および社会階層別の宣言からなる。関心の ある方は、アジア人権委員会まで。

【連絡先→Asia Human Rights Commission, Flat E, 3rd Fl., Kadak Building, 171, Sai Yee St. Kowloon, Hongkong, e-mail: alegrcen@hk.super.net, ahrchk@hk.super.net、センターにてコピー・サービスでも提供。A4版16頁】


人間の安全保障に関する会議(タイ)

 アジア・太平洋地域における人間の安全保障に関する会議が、バンコク・タイで1997年3月下旬開催された。この会議は、政府間会議ではなく、こ の地域におけるさまざまな分野の活動家、専門家、団体、政府代表などが集まった。会議の主な目的は、オールタナティブな地域的安全保障システムを探求する ことである。また会議中、国家を中心に据えた安全保障システムから、人間を中心に据えたシステムに移行していくことが提案された。

【連絡先→Focus on Global South c/o CUSRI, Chulalongkorn University, Bangkok 10330 Thailand; tel: 66-2-218-7363 to 64 fax: 66-2-255-9976 e-mail: alt-security@focusweb.org】


第1回アジア地域人権研修プログラム(タイ)

 アジアの非政府団体および個人を対象にした人権に関する研修が、バンコク・タイにおいて1997年3月16日~4月2日に開催された。今回は、人 権の概念やその実現の戦略について学習、議論がされた。参加者は、人権の一般的な概念から個々の人権侵害のケースについて話し合った。国際、地域、国内の 人権活動についても学習した。研修コースには、南アジアと東南アジアから約30名の参加者が集まった。

 このセッションは、フォーラム・エイシア(FORUM ASIA)の主催で第1回目の開催となる。今回の目的は、人権活動の価値の明確化と人権に関する本質的な知識や技術の強化、人権活動家の連帯強化、さらに はこの地域の人権運動の強化である。

【連絡先→FORUM ASIA : 109 Suthisarnwinichai Road, Samsennok, Huaykwang, Bangkok 10320 Thailand; tel: +66-2-276-6946 to 47, fax: +66-2-276-2183, e-mail: chalida@mozart.inet.co.th】


フェミニストのための連続トレーニング・セミナー(マレーシア)

 1997年の半ば、APWLD (The Asia-Pacific Forum on Women, Law and Development 、アジア・太平洋女性、開発、法フォーラム)が連続トレーニング・セミナーを開催した。テーマは、フェミニストのための法理論とその実践(法改正の手続 き、女性のための訴訟戦略の開発などが焦点)、フェミニストのための発展の権利と経済的権利の開発へのアプローチ(女性の経済的権利の実施と女性の職場内 での差別の対処法が焦点)、フェミニストのための女性の人権へのアプローチ(生存権、平等権、自由権などの特定の権利の適用に関する分析を通した人権に関 するフェミニストの展望の発展とその分析の活用戦略が焦点)である。このセミナーの対象者は、弁護士、活動家などである。

【連絡先→APWLD : 9th Floor, APDC Building, Pesiaran Duta, Kuala Lumpur, Malaysia, tel: 603- 255-0648 to 49, fax: 603- 254-1371】


人権、民主主義、開発、市民社会に関するアジア地域会議(タイ)

 タイにおいてクーデターによって権力を握った軍部に対して大規模の暴力的な抗議行動が起こった「5月流血事件」の5周年を記念し、「人権、民主主 義、開発、市民社会に関する地域会議」が開催された。この会議は、タイ・バンコクのタマサート大学で、1997年5月14日から17日まで行われた。今回 の会議の目的は、市民による経験や市民の考え方の視点を多様に共有すること、正義・平和・人道にもとづく市民同士の連帯の強化である。また、民主主義社会 における人権の意義を確認することも挙げられた。主催したのは、大衆民主主義のためのキャンペーン(CPD)、民主主義勇士連合会(CRHM)、タイ人権 団体連合会(CCHROT)、タイ学生同盟(SFT)、発展に関するアジア文化フォーラム(ACFOD)など。

【連絡先→ACFOD : P.O.Box 26, Bungthonglang Post Office, Bangkok 10242, Thailand, tel: 662-370-2701, fax: 662-374-0464 e-mail: acfod@ksc15.th.com】


人権教育に関するワークショップ(スリランカ)

 1997年6月23日から26日にかけて、コロンボにおいて非公開の人権教育に関するワークショップが開催された。このワークショップは、アジア 財団によるアジア・太平洋地域における人権トレーニング・プロジェクトの一環として行われた。今回のテーマは、とくに裁判官や弁護士を対象として、この地 域で開催可能な最近の人権トレーニングのコースについて、「移住者」をめぐる問題のような個々の人権問題に関するケース・スタディについて、大学レベルの 卒業論文トレーニング・プログラム、最近のトレーニングの方法論などである。スリランカ、バングラデシュ、インド、タイ、韓国、フィリピン、中国、地域・ 国内研究所からの人権教育者がこのワークショップに参加した。また、ラディカ・クマラスワミ博士(女性に対する暴力に関する国連特別報告者)が基調講演を 行った。

【連絡先→Asia-Pacific Regional Initives, the Asia Foundation: 14F, San Francisco, California, 94101 USA, tel: 1-415-982-4640, fax: 1-415-392-8863】


オークランド大学ニュージーランド・アジア研究所主催、「アジア・太平洋経済構造調整と文化的アイデンティティ」に関する方針策定会議(ニュージー ランド)

 1997年8月15日から17日、オーストラリア・オークランドで、オークランド大学ニュージーランド・アジア研究所による「アジア・太平洋経済 構造調整と文化的アイデンティティ」に関する会議が開催された。アジア・太平洋地域における研究者が、文化的アイデンティティ、自決権と統治権、地域経済 方針策定における民主化と政治参加、APECやASEMにおけるアジア・太平洋地域の国際関係、APECアジェンダとアジア・太平洋地域における先住民族 などのテーマについて議論を行った。

【連絡先→Mr. Christopher Tremewan, Director, New Zealand Asia Institute, the University of Auckland, Private Bag 92019, Auckland, New Zealand, tel: 649-373-7599 ext. 6935; fax: 649 308-2312; e-mail: nzai-office@auckland.ac.nz】


LAWASIAの第15回会議(フィリピン)

 LAWASIAが8月26日から31日にかけて、フィリピン・マニラで「変貌するアジアにおける法制度」と題する会議を開催した。この会議には、 いくつかの部会ももたれた。内容は、人権の基本的原理に関連したアジア地域における政治的、経済的発展、女性・子ども・難民・移住労働者などのマイノリ ティの実態、人権メカニズムなどである。

【連絡先→Mr. Carlos P. Medina, Secretary, LAWASIA Human Rights Committee c/o Ateneo Human Rights Center, 3/F, School of Law, Ateneo de Manila University, H.V. de la Costa Street, Salcedo Village, Makati city, Metro Manila, Philippines; tel: 632-817 9701 ext. 323; 812-5242; fax: 632-812-5242】


国内人権機関第2回アジア・太平洋地域フォーラム(インド)

 1997年9月10日から12日、インド・ニューデリーにおいて第2回アジア・太平洋地域国内人権機関ワークショップが開催された。会議は、オー ストラリア、インド、インドネシア、フィリピン、ニュージーランドの国内人権機関の代表と各国政府の人権関連の代表が集まった。その他、オブザーバーとし てNGOも参加し、ワークショップ結論を採択した(本書249~254頁の金論文と資料2参照)。

【連絡先→Commissioner Pamela Jefferies, Chief Commissioner, New Zealand Human Rights Commission, Level 4, Southpac Tower Cnr Queen and Customs Streets, Auckland, New Zealand, tel: 649-309-0874, fax: 649-377-3593】


国連人権教育の10年推進のためのアジア地域会議(タイ)

 1997年9月に、アジア・太平洋人権情報センターとチャイルド・ライツ・アジアネットが共催し、アジア地域で人権教育の10年を推進するための ワークショップを開催。アジアの学校教育で人権教育を推進するための方策について、とくに人権と文化の関係に焦点を置いて討議した。なお、センターはこの ワークショップに関連して、研究報告(Human Rights in Asian Cultures: Continuity and Change)を出版している。

【連絡先→〒552-0007 大阪市港区弁天1-2-1-1500、アジア・太平洋人権情報センター、電話: 06-577-3578、ファックス: 06-577-3583】


アジア・太平洋人権・民族紛争防止センター「電子メディアと人権」会議(タイ)

 オーストラリア、マードック大学のアジア・太平洋人権・民族紛争防止センターが、1998年11月、タイ・バンコクにおいて「電子メディアと人 権」に関する会議の開催を開催した。アジア・太平洋地域における地域人権団体と研究機関の代表が集まり、人権に関する電子ネットワークの可能性について討 議した。

【連絡先→Mr. Fernand de Varennes, Interim Director, Asia-Pacific Centre for Human Rights and the Prevention of Ethnic Conflict, School of Law - Murdoch University, Murdoch, Western Australia 6150 Austtralia, tel: 619 360 6510, fax: 619-310 6671, e-mail: devarenn@murdoch.edu.au, http://wwwlaw.murdoch.edu.au/apchr】


第6回国連アジア・太平洋人権ワークショップ(イラン)

 第6回国連アジア・太平洋人権ワークショップが、イランのテヘランで1998年2月末から3月にかけて開催。この会議は、アジア・太平洋地域にお ける地域人権メカニズムの構築などについて検討する。

【連絡先→Office for United Nations High Commissiner for Human Rights, Palais des Nations, CH-1211 Geneva 10, Switzerland】


第3回アジア・太平洋地域人権シンポジウム(日本)

 日本の外務省と国連大学が、1998年1月27日から28日にかけて、東京で第3回アジア・太平洋地域人権シンポジウムを開催した。国連人権高等 弁務官メアリー・ロビンソンが基調講演を行ったほか、アジア・太平洋地域の人権専門家、国内人権委員会代表者らが参加した。

【連絡先→外務省総合外交政策局人権難民課、〒100-0013 東京都千代田区霞が関2-2-1, 電話: 03-3580-3311】


アジア財団、人権作業部会(タイ)

 1997年12月6日から9日にかけて、タイ・バンコクでアジア財団(米国)とASEAN国内人権作業部会による人権作業部会が開催された。この 会議では、各国の大使館職員を対象とした移住労働者に関するトレーニングの開催の可能性、香港大学のアジア・太平洋地域の人々のための人権コースの設立に ついて議論された。また、裁判官のためのワークショップの報告もなされた。主にアジア・太平洋地域諸国におけるロースクール(法律大学)に携わった人が参 加した。

【連絡先→Richard Wilson,Regional Initiatives, The Asia Foundation, 14F, 465 California Street, San Francisco, California, USA, tel: 1415-983-4640, fax: 1415-392-8863, e-mail: RICHARD+aTAFOFFICE%605-9192@MCIMAIL.COM】


第1回移住労働者とその家族と連帯する国際デーUNDP(国連開発計画)が呼びかけ

 「すべての移住労働者およびその家族構成員の権利保護に関する国際条約」が国連で採択されたのが、1990年12月18日。現在の批准状況は、わ ずか9カ国。UNDP(国連開発計画)が、この日を記念して、12月18日を移住労働者とその家族と連帯する国際デーと位置付け、多くの国に条約批准を呼 びかけるキャンペーンを開始した。UNDPは各国の移住労働者問題に関する活動などの情報を提供してもらうよう呼びかけている。UNDP以外に、スカラブ リニ移住労働者センター(マニラ・フィリピン)、ILO(国際労働機関)、その他いくつかの移住労働者問題に関わるNGOもこのキャンペーンに協力してい る。

【連絡先→Asia-Pacific 2000 UNDP P.O. Box 12544, 50782 Kuala Lumpur, Malaysia tel: 603-255-9122, fax: 603-253-2361】


国内人権機関、人権研修セッション開催(フィリピン)

 1998年2月8日~14日にかけてカナダ人権財団がフィリピンの人権委員会との共催で、国内人権機関の職員とアジア諸国の政府職員対象に試験的 な研修セッションを開催した。インドネシア、フィリピン、インド、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの人権委員会から参加があった。このセッ ションのテーマは、国内人権機関の役割と機能、技術トレーニング、市民社会の強化における研究機関の役割である。

【連絡先→Canadian Human Rights Foundation: 1425, boulevard Rene-Levesque ouest, Bureau 307, Montreal, Quebec, Canada H3G 1T7 Canada tel: 514-954-0382, fax: 514-954-0659】

(文:川村 暁雄)