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アジア・太平洋地域の国内人権機関の発展

資料7

第2回アジア・太平洋地域人権シンポジウム
人権促進・擁護のためのパートナーシップを目指して
1996年7月4~5日(主催:外務省・国連大学)

【議長による結論】

  1. 参加者は基本的人権は不可譲であり、人権が普遍的かつ不可分で、人権が世界中どこでもバランスのとれたすべての方法により伸長・保護されなくてはならない正当な国際的な関心事であることを、コンセンサスにて確認した。

  2. 人権が普遍的であるという点を強調する際、その解釈と適用において、文化的かつ宗教的配慮が重要である点についても合意された。しかし、参加者は、文化的保全論は人権の原則を遵守しないための口実として使われかねないという点に留意した。原則的で実際的な判断が求められる。

  3. 参加者は、アジア・太平洋地域で人権の問題が取り上げられる方法に顕著な改善がみられるようになってきたことに注目した。参加者は、当地域の政府に人権の規範的・実際的な理解を深めるための精力的な努力を進め、自国および国外での責任性(アカウンタビリティ)を高めることを求めた。このような努力は個別に、そして集団として、また他の国際的、地域的機関や市民社会との協力によって進めるべきである。

  4. 参加者は、経済発展が人権の享受に貢献しうること、人権は持続可能な発展に貢献しうることを認めるが、この関連は自動的ではないことも認識する。権利は、市民的、政治的、文化的、および経済的権利と発展の権利が調和して推進されるよう、統合的なやり方で実施されるべきである。人権の実効的な実現を推進するためには、経済的発展の成果が公平に分配され、その発展の悪影響がその社会および地球全体で実効的なかたちで課題とされる必要がある。

  5. さまざまな市民的、政治的、経済的、社会的、および文化的権利は、国際社会、そして大半の政府により長らく無視されてきた。アジア・太平洋地域の政府は国内法においてこれらの権利を承認し、それぞれの固有の文脈のなかで人権を内面化することによりその実施を行うことが求められる。

  6. 国内人権機関の活動に関する一般的なガイドラインとして機能するパリ原則および国内機関の設立と、発展に関するチュニス計画についても触れられた。

  7. 多様性と寛容はアジア・太平洋地域の基本的な文化的、社会的価値であり、これらを尊重することは民主的な価値の一部でもある。人権の伸長と保護は、民主的な政治システムのなかでもっともよく達成できる。この地域における民主化の進展とそのさらなる確立は、この地域の人権状況の改善を示すよい前兆である。

  8. 国際的な人権の伸長と保護の機構は、必要不可欠であり、強化すべきである。これは政治的な意図からの人権の利用を防ぎ、国際協力にとって必要な基礎となる。参加者は、この地域の人権状況をさらに改善するため、討議、協力、行動をとるための恒常的な地域フォーラムもしくは機構を提案した。このようなフォーラムは、より豊かな人権の概念と行動をこの地域で生み出すために、異なる流れの思考をもつものも信頼をもち、力を合わせることのできるような場であるべきである。

  9. 世界のどこでも、人権教育は人権の伸長と保護のために必要不可欠であり、アジア・太平洋地域の政府は、国連人権教育の10年の目標を達成するべく努力を新たにすることが求められる。

  10. 参加者は、女性の人権の伸長と保護が、常に最大の優先課題とされるべきであることを再確認した。

翻訳:川村 暁雄(ヒューライツ大阪・研究員)